「塗装工の仕事に興味があるけれど、調べてみると『きつい』『やめとけ』なんて言葉も出てきて、一歩を踏み出すのをためらっている」
もし、あなたがこの記事を読んでいるなら、きっとそんな不安を抱えているのではないでしょうか。
こんにちは。私たちは、建築塗装の世界で働くプロフェッショナルです。今回は、そんなあなたの不安や疑問に、業界の人間として、一切の嘘やキレイ事なく、正直にお答えしたいと思います。この仕事には、確かに「きつい」側面があります。しかし、それを補って余りある、大きな魅力と喜びがあるのもまた事実です。
この記事が、あなたのキャリア選択における、一つの確かな判断材料になれば幸いです。
【本音①】正直に話す、塗装の仕事の3つの「きつい」
まず、現実からお話しします。なぜ、塗装の仕事が「きつい」と言われるのか。それには、大きく分けて3つの理由があります。
1.【体力的】なきつさ:自然環境と身体への挑戦
これが、最もイメージしやすい「きつさ」かもしれません。私たちの仕事場は、快適なオフィスではなく、自然環境そのものです。
夏の炎天下では、じりじりと照りつける太陽との戦いです。アスファルトの照り返しと建物の壁からの反射熱で、気温は40℃近くに感じることもあります。流れる汗で作業着はすぐに重くなり、こまめな水分補給と自己管理が安全に直結します。もちろん、近年は空調服などの対策も進んでいますが、それでも暑さが厳しいことに変わりはありません。
逆に冬は、指先の感覚がなくなるほどの寒さとの戦いです。かじかむ手で繊細な刷毛の作業を行うには、集中力と慣れが必要です。
また、一日中、様々な体勢で作業を行います。天井を塗るために上を向き続けたり、低い場所を塗るために屈んだりと、普段使わない筋肉を使うことも多々あります。塗料の入った一斗缶は重く、現場によっては資材を担いで階段を上り下りすることも。これは単なる体力勝負ではなく、体を壊さないための効率的な体の使い方、つまり「フィジカルインテリジェンス」が求められる世界なのです。
2.【環境的】なきつさ:天候に左右される不安定さ
屋外での作業が中心であるため、私たちは常に「天気」を相手に仕事をしています。
雨が降れば、その日の作業は基本的に中止です。なぜなら、雨は塗料の密着を妨げ、塗装の品質に致命的な欠陥を生じさせるからです。また、雨だけでなく、湿度が高すぎれば塗料の乾燥が極端に遅くなり、強風が吹けばホコリやゴミが塗りたての面に付着してしまいます。
これは、仕事のスケジュールが自分の努力だけではコントロールできない、というもどかしさを生みます。一週間の予定を完璧に組んでいても、台風や長雨が続けば、すべてが白紙に戻ることも珍しくありません。特に日給・月給制で働く職人にとっては、稼働日数が収入に直結することもあり、金銭的な計画性も求められる、という厳しさがあります。
3.【精神的・技術的】なきつさ:求められる繊細さと責任感
「ペンキを塗るだけ」というイメージとは裏腹に、塗装の仕事は非常に知的で、精神的な集中力を要する仕事です。
まず、安全管理。高所での作業も多いため、足場の使い方や安全帯の知識は必須です。一瞬の油断が、自分だけでなく、大切な仲間の命に関わる大事故に繋がりかねません。常に危険を予知し、緊張感を持って仕事に臨む必要があります。
次に、技術的な繊細さ。プロの仕事と素人のDIYを分けるのは、ミリ単位の精度です。壁と天井の境目を、フリーハンドの刷毛さばきで一本の直線に仕上げる「見切り」。窓サッシの周りを、塗料が1ミリもはみ出さないように保護する「養生」。これらの作業は、息を殺して指先に全神経を集中させる、職人の真骨頂です。
さらに、お客様とのコミュニケーションも重要な仕事の一部です。現場では、私たちが会社の顔となります。お客様からの質問に専門家として分かりやすく答えたり、作業の進捗を丁寧に報告したりと、サービス業としての側面も強く求められるのです。
【本音②】それでも、私たちがこの仕事を愛し、誇りを持つ理由
ここまで「きつい」話をしてきましたが、もちろん、それだけなら誰もこの仕事を続けません。ここからは、それらのきつさを乗り越えた先に待っている、この仕事の「本当の魅力」についてお話しします。
1. 「オフィスワークにはない」圧倒的な達成感と自由
まず、仕事の終わり方が全く違います。17時になれば、その日の作業は終了。現場で解散し、自分の時間へと切り替わります。オフィスワークにありがちな、終わりの見えない残業や、上司や取引先との「付き合い」とは無縁です。仕事とプライベートの境界線が非常に明確で、家族と過ごす時間、趣味に没頭する時間を、誰にも邪魔されることなく確保できます。
そして何より、この仕事には「成果が“形”として残る」という、圧倒的な達成感があります。朝、現場に来た時には古びて色褪せていた建物が、夕方、自分たちの手で美しく生まれ変わっている。そのビフォー・アフターを目の当たりにした時の感動は、何度味わっても新鮮です。自分が手掛けた建物が、地図に載り、何十年もその街の風景の一部となる。それは、パソコンの画面や書類の上では決して得られない、確かな「生きた証」なのです。
2. 「昨日より今日の自分が成長している」という確かな実感
塗装職人の世界では、自分の成長が非常に分かりやすい形で実感できます。最初は持つのも一苦労だった道具が、いつの間にか体の一部のように扱えるようになる。先輩に教わった通りにやってみたら、驚くほどキレイな直線が引けた。そんな小さな成功体験の積み重ねが、日々のモチベーションになります。
昨日できなかったことが、今日はできる。その成長が、お客様からの「ありがとう」という言葉に繋がり、そして最終的には昇給という形で正当に評価される。自分の努力と成長が、どこか遠くの誰かの評価ではなく、目の前の結果と自分自身の価値に直結する。このシンプルで公平な世界観は、大きなやりがいとなります。
3. 「AIには奪われない」一生モノの技術という安定性
世の中ではAIによる仕事の自動化が話題ですが、私たちの仕事がなくなることはありません。一つとして同じ状態の建物はなく、その日の天候や下地の状態を見極め、五感を使いながら手作業で仕上げていく。そんな繊細で複合的な判断と技術は、決して機械には真似できないからです。
建物がある限り、風雨や紫外線からそれを守る「塗装」という仕事は、絶対に必要とされ続けます。一度本物の技術を身につければ、それは景気の波や社会の変化に左右されない、一生食べていける「資産」となります。これこそが、職人という仕事が持つ、最大の強みであり、将来への安心感なのです。
最後に
塗装職人の仕事は、楽な道ではありません。しかし、それは決して「誰にでもできる仕事ではない」ということの裏返しでもあります。
身体的な挑戦は、健全な心身と生活リズムをもたらし、精神的な厳しさは、プロフェッショナルとしての誇りと自信を育みます。
もし、この記事をここまで読んで、「きつそうだな」という気持ちよりも、「でも、なんだか面白そうだ」「そういう達成感を味わってみたい」という気持ちが少しでも上回ったなら、あなたには塗装職人としての素質が眠っているのかもしれません。
それは、自分の手で価値を生み出し、自分の足で人生を歩んでいきたいと願う、尊い才能です。
私たちグラフトは、そんなあなたの挑戦を、心から歓迎します。
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